「JT株は今買うべき?下がり続ける?」
「JT株は買ってはいけないの?」
「JT株100株持っていると配当はいくら?」
このような疑問を、

この記事では、JT株価急落の実態と見通し、下値分析と配当について分析・解説していきます。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】最新分析。JT株価急落の実態と今後の見通し
【JT株買ってはいけない?なぜ?】急落するJT株価の現状
人気高配当株の2914JT(日本たばこ産業)が本格的に株価下落。
2月に1年間の決算が出て2025年度の見通しが発表されましたが、経常利益は3%減益となります。
一方で配当金は3年連続の194円と据え置き。
悪い決算ではなかったのですが、ご覧のとおり下落が続いています。
ただその一方で配当利回りは5%台を回復し、高配当株としては非常に魅力的な水準になってきています。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株価下落の懸念点
しかし、JTの今回の下落は気を付けた方がいいかもしれません。
たばこのシェアは世界3位、キャッシュリッチで政府保有の銘柄ですが、買い控えるどころか高配当も無視して暴落してしまう可能性もあります。
とはいえ、決して業績がすごく悪いわけではありません。2025年度も利益は前年より少し減りますが、売上自体は増えています。
では、なぜここまで下落しているのでしょうか。単純に喫煙者の人口や喫煙率だけで判断できない理由があります。
今回は現時点のJT株の最新の分析と見通しについてお話ししたいと思います。結論としては、今のところは下落トレンドが継続すると見ています。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株価下落の要因分析
【JT株買ってはいけない?なぜ?】2024年度の好業績と今後の課題
まずJTの2024年度の業績を振り返ってみましょう。JTは医薬品や加工品なども扱っていますが、ほぼたばこで構成されています。
2024年は1年間で売上利益とも増収増益で、営業利益に関しては過去最高の6,972億円で着地しました。
JTは売上の75%以上が海外ですので、昨年の円安の恩恵を受けたのと、それに加えてたばこのプライシング(値上げ)を全面的に行い、売上が伸びてコストが増えた分も相殺して利益を残した形になります。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】コスト上昇と為替の影響
2025年の見通しは売上は増えますが、一方ではコストも上がっています。買収したベッカージャパンの商標権の償却コスト、たばこ自体の原材料も上がっていますし、人件費も高騰しています。
さらに、ここ数年業績を引っ張ってきた為替レートもそこまで円安になる見込みはありません。
JTは取扱っている地域が広いのでドル円だけで見るべきではないと思いますが、ドルの想定が153円台です。
直近だとそれよりも円高に振れていて、よく考えれば自動車メーカーがするような1ドル140円といった保守的な為替想定でもありません。
かといって今の日銀の動きなどを見ていても、この2年ぐらいのようにスルスルと円安が進むイメージは現段階では持てません。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】新興国通貨と加熱式たばこの課題
また、2024年度中はイランの通貨リアルが急激な下落、インフレが続き、現地通貨が安くなることによってJTの損失にも繋がりました。
それ自体は一時的なものですが、先進国の金利が高い状態が続いていくと、アジア、南米、東欧といった新興国通貨には下落圧力がかかります。
現地通貨で売上げた金額が円換算で安くなる、つまり円高の影響を受けてしまうわけです。昨年からその傾向が出ていて、引き続き懸念されています。
そして成長事業である加熱式たばこについても課題があります。
JTはプルームXという商品があり特に欧州でシェアを伸ばしていますが、既存の紙たばこに比べればまだ割合が小さく、しかも肝心の日本市場でまだシェアが高くないので値上げもしにくい状況です。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】インフレと訴訟リスク
特に日本では昨年から言われていたインフレが加速しており、7月の消費者物価指数コアCPIは1年7ヶ月ぶりの3.2%と上がっています。
それに伴う減税や企業に対する不満も高まりやすい状況です。その中で紙たばこは値上げが予定されていますが、電子たばこまで値上げできるかというと微妙な状況です。
以前からカナダで続いているJTを含めたばこ3社に向けた健康被害訴訟の巨額賠償金の行方もまだ不透明です。
日本円にすると3兆6000億円、JTの営業利益の約5年分以上に相当します。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】不透明要因と下落トレンドの加速
そんな事情もあって、たばこ自体の依存性と寡占優位性はまだまだ強いですし、引き続き値上げをして収益も上げる予定ですし、電子たばこもなんだかんだ成長していますが、それ以上に不透明要因が強く、2025年の見通しはあまり良くありません。
参考程度ですが、2025年のアナリスト予想と実際の会社が出した見通しを比較すると、
アナリストが出している売上や営業利益の見通しに対して、
会社が出している予想値は大きく減っています。
元々もっと業績成長が期待されると思われていたところ、思ったより良くなさそうという状況に悪化しています。こういうこともあってこのような下落に繋がっているのです。
しかもチャート的な話になりますが、下がるにしても昨年の年末まではじわじわと週足で小さい陰線を付けていたのが、今年に入ってから下がる陰線の幅が大きくなっています。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株の今後と長期的な見通し
【JT株買ってはいけない?なぜ?】たばこ市場の世界的な成長性
もちろん長期の高配当投資家なら、そんな先々の株価は気にしなくてもいいという考え方でも全然ありだと思います。
日本もそうですし、先進国では喫煙率が下がっていますが、それでも新興国を中心に全世界で見れば2030年にかけてたばこは年率約4%の成長率で市場が拡大していく見込みです。
電子たばこについては10年間で平均で年率5.39%、2033年には2024年比約1.7倍に伸びると見込まれています。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】為替とコストが業績を圧迫
ただ成長ドライバーになっている新興国の通貨が現在の高金利の状況では安くなりやすく、これがJTの業績を押し下げます。
さらに先ほど世界的なたばこ市場の成長性について話しましたが、全世界的に急速に、それこそアフリカや東南アジアといった新興国が多い地域でも喫煙率が下がっていて、
想像以上にたばこ市場の成長の上限が早く来るかもしれません。
以上の理由から結論として、為替の減速感と企業買収などでコストがかかる点もあり、2025年は減益となります。
そしてそれが見かけの決算の数値以上に投資家に懸念されているというのが現在のJTの状況です。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株価の過去の変動と今後の見通し
ただ、衰退産業と言いながらもここ数年利益を上げてきたように、
例えば元々1ドル100円とかだった円高の為替レートから150円、160円といった円安方向に急速に振れたり、大きく値上げしたり、そういう変化があれば業績も上がりますし、
3年前の2022年に2000円を付けてから、実際株価としても2.3倍以上に上がってきたわけです。
なので長期で医薬品だからといって必ずしも株価が伸びないわけじゃないのですが、ただその要因となっていた値上げや急速な円安が一旦落ち着いています。
変化の要因が薄くてむしろ円高方向に進んでいるということなので、以上の点も踏まえて個人的には今回の下落は3700円と言わず結構続くと思います。
配当に関しては3年連続増配で配当性向も76%です。そこまで無理がありませんし、キャッシュもありますから、高配当で持ち続けるのであれば特に問題ないかもしれません。
ただ、株価が下落すると5%どころじゃ済まなくなる可能性もあります。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株はいつ買い時?下値分析と投資タイミング
【JT株買ってはいけない?なぜ?】新興国通貨と金利の重要性
ではどこから下落が止まるのか、私の見立てを解説します。
まず、たばこの販売状況とは別に新興国の動向が非常に重要です。
円高と言うとドル円が注目されますが、最大市場のロシアのルーブルをはじめ、インドのルピーやベトナムのドン、ブラジルのレアル、アルゼンチンのペソ、その他アフリカや中東のさらにマイナー通貨まで、
それらに対してJTの業績だけ考えるのであればこの円高がどこで止まるかがポイントになります。
新興国の通貨が高くなるかどうかは先進国通貨との比較であり、先進国通貨の金利が高い状態だと先進国の方が信頼性がありますから、そちらにお金が流れやすいです。
だから高金利の状況では新興国通貨は安くなりやすいです。そうなっている以上、最近あらゆる株で感じるのですが、この金利上昇がどこで止まるかが非常に重要です。
日本の長期金利も絶賛上昇中ですから、どこが金利の上限になるのか見通しが立つことが重要です。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】PER分析による下値目標
実際の株価の買い時を考えると、いい感じに下げているようで実はそんなに安くありません。
過去2年や5年のPERの中で見ても現在の14倍台は、どちらかというと割高です。
最も、過去と為替レートの水準が違いますし、PERは分母となる利益の減少にも注意が必要です。
ですが、一旦1株利益にそこまで大きくブレがないとして、過去3年間でJTのPERの水準を見ますと安い時はちょうど10倍台です。
現在のPER14.7倍から10倍になろうとした場合、株価に換算すると下落率マイナス31%、2608円になりますので、週足チャートでいうとかなり昔の水準、2023年の年初ぐらいまで下落してしまう計算になります。
さすがにそれは言い過ぎ感もあるのですが、ただ過去の20年ぐらいのJTの株価推移を見ますと実は綺麗に株価5倍とか天井から3分の1とか繰り返してきています。
株価が2600円になったとしても昨年の6月の天井からマイナス43%ですからそんなにおかしい数字でもないのです。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】為替と景気動向からの分析
また、なんだかんだ言ってもこの10年JTとドル円の連動性もある程度あり、やはり為替が円安になると上がっていて、円高局面になると株価も下落していく傾向にあります。
また今の話とは別軸でJTの株価の上昇と下落期はちょうど日米の景気拡大、景気後退の時期に綺麗に一致するのです。
この記事を書いている2024年2月24日現在、先週に米国のPMIが悪化していて、米国経済も縮小の動きが見えています。全然断言できませんが仮に景気後退に入っているとすると、過去傾向上JTの株価も連動して下落しやすいです。
なのでそういう状況を踏まえるとまだまだ下がりそうですし、あり得る株価の安値ラインは2600円台です。個人的にはそのぐらいの変動を見ておいた方がいいと思います。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】回復シナリオの可能性
このシナリオがもし崩れるとしたら、為替が予想に反してめちゃくちゃ円安方向に振れたり、あるいは景気後退の懸念が一気に来て全体株価と金利が急落してそこから中央銀行が緩和的なスタンスになるといった場合です。
そうなればわざわざ2600円とか待たなくてもJTの株価としては回復しやすいでしょう。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT配当金徹底解説:100株でいくら受け取れる?
【JT株買ってはいけない?なぜ?】配当利回りによる買い時設定
また人気高配当株ですから配当利回りのある程度の水準で買いが入ることも考えられます。例えば配当利回り5.5%だったら株価としては3527円、もうすぐそこまで来ています。
配当利回り6%とすると3233円で、昨年の8月5日の暴落時よりも少し下です。これも十分あり得る数字で、そこまできるとまあ個人を中心に高配当投資家の物色買いが入るかもしれません。
なので一概に2600円まで待てばいいというプランではなく、いくつか節目となる価格を設定しておく必要があると思います。
ちょうど状況的にJT株には今まさに逆風が吹いていて、安易な押し目買いは個人的には控えた方がいいと思います。
高配当を狙うのであればいくつか買うポイントを設定して、
状況が変わる要因(今回で言うと新興国通貨の下落)に目を光らせながら、ホルダーの方もそうでない方もJT株を見ておくといいでしょう。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】100株保有時の配当金額
JTは現在1株あたり194円の配当を出しているので、100株保有していれば年間19,400円の配当を受け取ることができます。
これは現在の株価3,800円台で計算すると約5.1%の利回りになります。高配当銘柄としては非常に魅力的な水準と言えるでしょう。
しかし私が言いたいのは、目先の高配当に惑わされるのではなく、株価の下落リスクもしっかりと見極めることの重要性です。
JTに限らず高配当銘柄は魅力的ですが、株価が下落すれば含み損が増えますし、長期的に見た場合のトータルリターンには影響します。
【JT株買ってはいけない?なぜ?】JT株を買ってはいけない?と言われる理由と購入指標のまとめ
為替の円安方向への急速な振れ、中央銀行の金融政策転換、たばこ市場の成長性再評価など、これらの点に注目しながら、引き続きJT株を見守っていきましょう。
相場は引き続き荒れ模様ではありますが、皆様の投資判断のお役に立てれば幸いです。
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当記事管理者・著者情報 株式会社RES代表取締役/Youtube Trade Labo配信者 児玉一希

株式会社RES代表取締役/Youtube Trade Labo配信者 児玉一希 プロフィール
東京都立大学(旧・首都大学東京)卒業後、2014年に新卒でリクルートグループへ入社。営業職としてキャリアをスタートするも、当初は思うような成果を上げることができず、2年後に転職を決意。
2016年、金融教育を手がける企業に転職し、投資家の講演運営に携わる中で、株式投資をはじめとする各種投資について学ぶ機会を得る。
その過程で、投資と教育の分野に対する関心が高まり、自らも教育事業に携わるようになる。これまでに直接指導を行った受講者は累計2万人を超える。
2020年には、株式会社RESの代表に就任し、お金や投資を学ぶための学校(現:「マネバ」)を創設。
さらに、2022年にはYouTubeチャンネル「Trade Labo」を開設し、株式市場や個別株の分析に関する情報発信を開始。投資に関心を持つきっかけとなる場を提供している。
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