
「防衛関連株(防衛株)の今後はどうなるのか?もう出遅れなの?」
「高配当の防衛関連銘柄を知りたい。」
「三菱重工は割高だけど、他に注目銘柄はないのか?」
など、この記事をお読みの方であれば、さまざまなお考えがあるのではないでしょうか?

2024年から2025年にかけて、防衛関連株が大きな注目を集めています。

高市政権の誕生、日経平均株価が5万円を突破する中、国策として2035年までに製造力倍増を目指す造船関連が一気に脚光を浴びています。

しかし、三菱重工はPER60倍、PBRは日経平均の1.68倍に対して約4倍という水準まで買われ、川崎重工やIHIも同様に割高感が強まってきました。

4月の関税ショックから多くの銘柄が高値を更新している中で、大手防衛株は既に相当な期待を織り込んだ株価水準に達していると言えるでしょう。
一方で、大手3社以外の防衛関連株の中には、配当利回り4%超えで45年間減配なしという実績を持ちながら、PER12倍台・PBR1倍割れで放置されている銘柄も存在します。
防衛は自動車や半導体のように裾野が広く、しかも商品1つ当たりの単価が高いという特徴があります。

元をたどれば全て国防のための需要であり、2035年まで続く長期メガトレンドと考えられる分野です。
では、割高になった大手3社以外で、これから防衛需要により業績が伸びる可能性があり、かつ割安で配当も期待できる銘柄はどこなのでしょうか。
そこで今回は、長期成長株投資の専門家として週3本の動画配信を続けている私の分析をもとに、Youtube登録者数28.8万人以上(2025年11月現在)の私、Trade Labo 児玉一希が、まだ割安に放置されている防衛高配当株4選と、今後の投資戦略について詳しく解説していきます。

【Trade Labo 動画本編】45年累進配当を続けるこの防衛株、激安放置中です
Youtubeで開いてご覧になる方はこちら

防衛関連株(防衛株)の今後はどうなる?2035年までの市場展望
まず最初に、なぜ防衛株が今後も成長が期待できるのか、市場全体の展望からお話ししていきます。
防衛関連株への投資を考える上で、この先10年以上続く可能性があるメガトレンドを理解しておくことは非常に重要です。

防衛関連株(防衛株)の今後はどうなる?市場展望①防衛関連株が長期メガトレンドと考えられる理由
防衛関連株が長期的なメガトレンドと考えられる理由は、大きく分けて3つあります。
防衛関連株が長期メガトレンドと考えられる理由①長期国防予算の増加トレンド
まず1つ目が、国防予算の増加トレンドです。日本政府は2027年までに防衛費をGDP比2%まで引き上げる目標を掲げていまして、これは従来の1%程度から倍増することを意味しています。

単年度の一時的な増加ではなく、長期に渡って予算が拡大していく方針が示されている点が重要ですね。
防衛関連株が長期メガトレンドと考えられる理由②裾野が広く単価が高い産業特性
2つ目が、防衛産業の構造的な特徴です。防衛関連は自動車や半導体のように裾野が広くて、しかも商品1つ当たりの単価が非常に高いという特性があります。

航空機や艦船、ミサイルシステムなど、1つの製品に関わる企業数が多く、かつそれぞれが高額な取引になりますから、関連企業全体に恩恵が及びやすい構造と言えるでしょう。
防衛関連株が長期メガトレンドと考えられる理由③地政学リスクの高まり
3つ目が、地政学リスクの高まりです。ウクライナ情勢や台湾周辺の緊張など、世界的に安全保障環境が厳しさを増している中で、防衛力強化の必要性が高まっています。

これらの状況は短期的に解消される見込みが立ちにくく、中長期的に防衛需要を下支えする要因になると考えられます。

防衛関連株(防衛株)の今後はどうなる?市場展望②2024〜2025年の防衛株市場の現状
現在の防衛株市場を見てみますと、大手3社を中心にかなり株価が上昇してきています。
三菱重工はPER60倍、PBRも日経平均の1.68倍に対して約4倍という水準まで買われていまして、正直なところ割高感が出てきている状況です。

川崎重工やIHIも同様に、防衛関連としての期待から株価が大きく上昇してきました。
ま、大手3社が人気化して割高になっているということは、逆に言えば相対的に割安な中小型の防衛関連株に投資機会があるということでもあります。
まだ防衛事業の売上比率が小さい企業や、あまり注目されていない技術を持つ企業などは、今後の成長余地が大きい可能性があるわけですね。

防衛関連株(防衛株)の今後はどうなる?市場展望③防衛株の今後10年の成長シナリオ
それでは、今後10年程度の成長シナリオについて考えてみましょう。
防衛株の今後10年の成長シナリオ①造船関連の注目度上昇

2024年に入ってから特に注目を浴びているのが造船関連です。
国策として2035年までに製造力倍増を目指す方針が示されていまして、これは防衛力強化の一環として艦船の建造能力を高めていく必要があるためです。
造船は防衛に直結する分野ですから、今後も政策的な支援が続く可能性が高いと見ています。
防衛株の今後10年の成長シナリオ②航空機・ミサイル・レーダー分野の拡大
航空機分野では、次期戦闘機の開発や既存機体の改修需要、さらにはドローンなど無人航空機の需要も拡大していく見通しです。
ミサイル防衛システムやレーダー技術も、防衛力強化の中核となる分野でして、関連企業の受注拡大が期待されます。

防衛株の今後10年の成長シナリオ③宇宙開発との連携強化
これからの防衛は宇宙空間も含めた領域になってきますから、ロケット技術や衛星関連の需要も伸びていく可能性があります。

防衛と宇宙開発の境界が曖昧になってきている分野もありまして、両方の需要を取り込める企業には大きなチャンスがあると考えられます。
ここからは、防衛関連株(防衛株)の銘柄分析をお届けします。

【防衛関連株(防衛株)銘柄分析①】新明和工業(7224)|水陸両用飛行艇で独自技術を持つ企業

それでは、具体的な銘柄分析に入っていきます。まず最初にご紹介するのが、新明和工業です。
この会社は水陸両用の飛行艇で世界トップクラスの技術を持っていまして、防衛関連株としてこれから注目度が高まる可能性がある銘柄と見ています。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の企業概要と事業内容

新明和工業は兵庫県に本社を置く特装輸送機器のメーカーです。
古くは戦前の川西財閥をルーツにしていまして、財閥の解体とともにダイハツと分社化した歴史があります。

現在の事業内容を見ますと、輸送機器と言っても特装車を手掛けているんですね。

具体的には、ダンプカーやゴミ収集車、空港で見る飛行機の搭乗橋、さらにはパーキングシステムや水処理システムなど、幅広い製品を製造しています。

一見すると防衛とは関係なさそうに見えますが、この会社の航空機事業が防衛関連として非常に重要な位置を占めているわけです。

防衛関連株(防衛株)防衛事業の強み:新明和工業の世界トップクラスの飛行艇技術

新明和工業が特に強いのが、水陸両用の飛行艇です。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の世界トップクラスの飛行艇技術① 戦前の紫電改から受け継ぐ技術

新明和工業は戦前に傑作機と言われた紫電改を製造していた技術が、現在の飛行艇に受け継がれているんですね。
長い歴史の中で培われた航空機製造の技術が、今も活きているということです。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の世界トップクラスの飛行艇技術② 航続距離が長く離発着距離が短い性能

この会社の飛行艇は、海外の同業メーカーと比べても航続距離が圧倒的に長くて、それでいて離発着に必要な距離は短いという、非常に優れた性能を持っています。

水上でも陸上でも離発着できるというのは、災害時や離島への対応など、日本のような島国には特に重要な能力と言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の世界トップクラスの飛行艇技術③ 自衛隊・災害支援での活用

自衛隊での輸送任務や、災害時の救援活動などで使われていまして、まさに日本の安全保障と防災の両面で重要な役割を果たしています。

防衛強化の流れを受けて、飛行艇への注目度も高まってきているんですね。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の株価指標と配当利回り
それでは、投資対象としての新明和工業を株価指標から見ていきましょう。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の時価総額と株価水準

時価総額は約1,400億円で、中堅規模の上場企業という位置づけです。
株価チャートを見ますと、この通り綺麗に上昇してきていまして、4月のトランプショックの大底からはそろそろ2倍という水準まで来ています。

防衛関連株(防衛株)新明和工業のバリュエーション指標

PERは14.7倍で、これは日経平均全体と比べても割安な水準と言えます。配当利回りは2.65%です。
大手3社のように割高になっていないという点では、まだ投資妙味がある水準と見ることもできるでしょう。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の配当政策

株主還元に関しては、2026年3月期までの期間中、株主資本配当率DOE3%程度を目処に増配基調でいくことを目指しています。

配当性向も現段階で38%ですから、無理のない水準です。年によって増配幅は変わるかもしれませんが、配当金の安定性自体は高いと考えられます。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の業績推移と今後の見通し
新明和工業の業績を見ていきましょう。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の業績推移と今後の見通し① 2024年第1四半期の状況

ちょうど10月31日に決算がありますが、その3ヶ月前、7月末に発表された第1四半期の業績を見ますと、受注と売上が過去最高という好調な数字でした。

防衛省向けの輸送機コンポーネントの増加とともに期待が高まっています。

ただ一方で、海外の売り上げもある中で、為替の円高による利益の減少も見受けられました。

全体で言うと航空機の売上は約15%ほどで、利益で言うと前年よりもマイナスとなっています。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の業績推移と今後の見通し② セグメント別の状況

特装車やパーキングシステムの価格改定などで売上は上がっているのですが、産業機械システムの不調や円高も重なって、前年の第1四半期に比べると減益という形になっています。

直近の数字を見ますと、真空製品やプラントの受注の減少、流体セグメントがそこまで伸びていないという状況です。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の業績推移と今後の見通し③ 受注残高の積み上がり

ただですね、メインの特装車両や機械式のパーキング、そして航空機と受注残高が溜まっていますから、第1四半期は減益でしたが、見た目ほど悪くはないと見ています。

実際、当初よりも受注高を上方修正していまして、売上予想は下げているのですが、利益は予想通りキープという状況です。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の業績推移と今後の見通し④ 今後の成長ドライバー

まだ業績には十分現れていませんが、これが伸びていく手前と言えそうな段階にあります。

防衛関連と言っても航空機はまだ売上の15%ほどですから、割合としては小さいです。
どちらかというと物流や建設で使われる特装車の動向が重要ですから、建設機械の統計や物流企業の稼働状況など、目先の業績には大きく影響を受ける構造になっています。

ただですね、三菱重工もそうですが、防衛関連の売上が小さい内からどんどん伸びてきているタイミングというのは、会社の収益構造が変わるタイミングでして、株価としても伸びやすい局面と言えます。

だからこそ、この順調な株価推移になっているんでしょうね。

防衛関連株(防衛株)新明和工業の投資判断のポイント
新明和工業への投資を考える上でのポイントをまとめておきます。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の投資判断のポイント① 収益構造の変化に注目

現状は特装車がメインですが、飛行艇や誘導弾ミサイルの開発、兵站関連の車両も増産していく方針ですから、これから防衛関連を中心に収益構造が変わりつつある企業として見ていただくといいと思います。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の投資判断のポイント② 株価水準の評価

今年に入ってから近年の1500円のレンジを上抜けていますから、会社を取り巻く状況がいい意味で変わってきていると捉えていいでしょう。

下値が割れずに細かいローソク足で動いていくのが、チャート的にもいい形と見ています。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の投資判断のポイント③ 決算のタイミング

10月31日に決算がありますので、正直、高値での決算発表は避けたいところではあります。
ただ、防衛関連事業の進捗や受注状況を確認する上では重要な決算になりますから、内容をよくチェックしておく必要があるでしょう。
防衛関連株(防衛株)新明和工業の投資判断のポイント④ ネックとなる要素

飛行艇が災害支援など限られた分野でしか扱われておらず、世界的に見てもそんなに稼働数が多くないという状況が、これまでのネックでした。

それゆえに、成長期待がそこまで高くなく、株価も横ばいだったわけですが、状況は変わりつつあると見ています。

【防衛関連株(防衛株)銘柄分析②】日本化薬(4272)|45年累進配当の高配当株

続いてご紹介するのが、日本化薬です。この会社は以前に一度、累進配当の銘柄として取り上げたことがあるのですが、配当利回り4%超えで45年間減配なしという、配当投資家にとっては非常に魅力的な銘柄です。


防衛関連株(防衛株)日本化薬の企業概要と事業内容

日本化薬は、会社名の通り化学品のメーカーです。

火薬、染料、医薬、樹脂を中心に製造していまして、代表的な製品としては自動車のエアバッグについているインフレータ、色素材料、半導体の絶縁材料である樹脂などがあります。
国内外でトップを争う製品を複数持っているんですね。

そして、社名に火薬とあるように、まさに防衛関連にも携わっています。世界的な強い製品があればこそ、長期にわたる累進配当が実現できているわけです。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の防衛事業との関わり
日本化薬の防衛事業との関わりについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
エアバッグ技術の軍事転用

エアバッグに使われるインフレータというのは、火薬を燃焼させて膨らませる仕組みなのですが、この技術がロケットを分離する際に使われる起爆装置などに応用されているんですね。
民生技術が軍事技術に転用される典型的な例と言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の防衛省向け製品

防衛省に向けて、導管起爆装置、火薬材料などを納入しています。防衛事業の売上規模はそこまで大きくないのですが、今後の防衛費増加の中で伸びていく可能性がある分野です。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の株価指標と高配当の魅力
それでは、投資対象としての日本化薬を見ていきましょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の株価指標と高配当の魅力① 割安なバリュエーション

株価は今年に入ってから横ばいでして、

ようやくまた反転してきたところです。

PERは12.7倍、PBRは1倍割れという水準で、もはやなかなかお見受けしない割安さと言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の株価指標と高配当の魅力② 配当利回り4.15%の魅力

そして何より注目すべきは、配当利回りが4.15%という高さです。東証プライム市場全体の平均が2%台前半であることを考えますと、かなり高い水準にあります。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の株価指標と高配当の魅力③ 45年以上減配なしの実績

配当金の推移を見ても分かる通り、ずっと減配せずに配当を長年出してきていまして、結果的に累進配当を45年以上という、おそらく日本で最も長い減配しない記録を持っています。
バブル崩壊、リーマンショック、コロナショックなど、様々な経済危機を乗り越えながら一度も減配していないというのは、企業の財務体力と株主還元への強いコミットメントを示していると言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の株価指標と高配当の魅力④ 総還元性向155%の株主還元

今年度の総還元性向の見通しはなんと155%です。これは配当だけでなく自社株買いも含めた数字ですが、利益以上に株主還元を行うということですから、株主重視の姿勢が非常に強い企業と言えます。

ただこれは、逆に言えばもっと投資に回して利益を伸ばすという動きをした方が良いという見方もできますので、評価が分かれるところではあります。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の業績分析と懸念材料
日本化薬の業績について、正直に申し上げて、現時点では楽観できない状況にあります。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の業績分析と懸念材料①第1四半期の厳しい数字

第1四半期は売上は微増だったものの、利益は20%以上の減益となりました。直近の状況は決して良くはありません。

上期の進捗率を見ますと、例年は計画の50%から60%進捗しているのですが、今年は42.4%でビハインドしているという状況です。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の業績分析と懸念材料② セグメント別の状況

近年業績を引っ張ってきました半導体材料が属するファインケミカルズは横ばいなのですが、メインのモビリティ&イメージングが減収減益となっています。

基本は自動車に使われていますから、アメリカの関税による自動車の販売不振の影響を受けているんですね。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の業績分析と懸念材料③ 複数の不調要因

さらに火薬の値段が上がったり、円高で海外の利益が目減りしたりと、不調な要因が重なりました。

AI相場でここ数年半導体材料を伸ばしてきたのですが、依然として堅調ではあるものの、製造装置や産業用インクを除けば横ばいか低調でして、投資などコストも重くなっています。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の業績分析と懸念材料④ 決算後の株価急落

5月、そして7月末の決算発表後に、窓を開けて株価が急落しています。ようやく上がってきたところで落とされるという、なんともやきもきする株価推移ですね。

ただ、なんだかんだ今年は下値を切り上げてきていまして、次の決算こそと期待したいところです。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の成長ドライバー
業績面では厳しい状況が続いていますが、今後の改善要因についても見ておきましょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の成長ドライバー① 円高の緩和

業績を苦しめてきた円高が緩和されてきていますから、これは今後の利益改善要因になる可能性があります。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の成長ドライバー② 医薬品パイプラインの拡充

ライフサイエンスにおける医薬品のパイプラインも揃ってきています。比較的ディフェンス性がある医薬品事業での新薬開発は、今後の収益源として期待できる分野です。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の成長ドライバー③ エポキシ樹脂の競争力

世界シェア1位のエポキシ樹脂を中心とした機能性製品の研究開発、販売増加が今後の鍵を握っています。
この分野での技術力は非常に高いものがありますから、市場環境が改善すれば業績への貢献も大きくなるでしょう。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の成長ドライバー④ 防衛製品の増加

防衛関連としての期待はされているのですが、現時点では業績への貢献はまだ限定的です。ただ、防衛費増加の流れの中で、徐々に寄与度が高まっていく可能性はあります。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント
日本化薬への投資を考える上でのポイントをまとめます。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント① 業績の不透明感

正直に申し上げて、日本化薬の業績に関しては現段階では読みにくい状況です。紹介しておいてあれなのですが、業績の進捗としては油断できません。

1年間の数字に対する経常利益の進捗、金額とも良くはないんですね。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント② きっかけが見えると急騰する可能性

ただ、だからこそ安く放置されているわけでして、45年以上減配なしで配当利回りが4%あって、PBRも1倍割れしていますから、何か改善のきっかけが見えると急騰する可能性もあります。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント③ 変動幅の小ささ

日足で見ると株価が乱高下しているように見えますが、2020年以降、概ね上下100円から300円くらいの幅で動いています。

事業自体は優秀な製品をたくさん生んでいますから、良くも悪くも驚きが少なく、変動幅が小さく、ある意味で安心感はあります。
防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント④ 高配当投資信託からの資金流入

6月には日経累進高配当指数にも採用されましたので、最近日本株も高配当株も人気化していますから、関連の投資信託から以前よりも日本化薬に資金が流れやすい状況にはなっています。

防衛関連株(防衛株)日本化薬の今後の投資判断のポイント⑤ 適した投資家像

防衛関連と言いながら業績の変化がいまいち見えにくい状況ではありますが、変動幅も小さいですし、高配当株をじっくりと持ちたい方には合っている銘柄だと思います。

11月11日に発表される第2四半期の決算で、価格転嫁や中国での拡販の状況をよくチェックした方がいいでしょう。

【防衛関連株(防衛株)銘柄分析③】カーリット(4275)|宇宙開発で独占的地位を持つ企業

3つ目にご紹介するのがカーリットです。この会社は宇宙開発において非常にユニークな立ち位置にある企業でして、長期的な成長期待が持てる銘柄として注目しています。

防衛関連株(防衛株)カーリットの企業概要と事業内容

カーリットは明治期に創業した化学品のメーカーです。

塩を原料としたカーリット爆薬を開発したのを皮切りに、自動車に備わっていて緊急時に使う発煙筒や産業用の火薬、電子材料や機能性材料などを製造しています。

さらには、電子機器に欠かせないシリコンウェハ、そしてロケットの推進材料となる過塩素酸アンモニウムを使った固体推進薬を販売しているんですね。

防衛関連株(防衛株)カーリットの防衛・宇宙開発事業の独自性
カーリットの最大の注目点は、ロケット燃料における独占的な地位です。
防衛関連株(防衛株)カーリットの防衛・宇宙開発事業の独自性① 国内唯一の製造企業

過塩素酸アンモニウムを原料とした固体推進薬の製造に関しては、国内ではカーリットしか製造できないという状況にあります。
これは非常に高い参入障壁を意味していまして、競合が現れにくい事業構造と言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)カーリットの防衛・宇宙開発事業の独自性② JAXA H3ロケットへの採用

この固体推進薬は、JAXAのH3ロケットなどにも使われています。日本の宇宙開発の根幹を支える技術を持っているわけですね。
防衛関連株(防衛株)カーリットの防衛・宇宙開発事業の独自性③ 2027年まで製造能力3倍拡大計画

実際に2027年まで、過塩素酸アンモニウムの推進薬製造を設備投資で3倍にしていく計画があります。

これは今後の防衛と宇宙開発の成長の恩恵を大きく受けやすい体制を整えているということです。

防衛関連株(防衛株)カーリットの株価指標と配当
カーリットの株価指標を見ていきましょう。
防衛関連株(防衛株)カーリットの株価指標と配当① 割安なバリュエーション

カーリットも株価はそんなに評価されていませんで、PERは13.3倍、PBRもギリギリ1倍割れという水準です。

ただ10月に入ってから綺麗に動いていまして、防衛関連としてにわかに注目されつつあります。
防衛関連株(防衛株)カーリットの株価指標と配当②配当利回りは低いが増配期待

配当利回りこそ1%台と低いのですが、成長企業ですので、配当政策に関しては総還元性向40%という株主還元方針を定めています。

業績によって配当も若干変動はするのですが、ここ12年間は減配なしで来ています。今でこそ配当利回りは低いですが、将来的には増配による利回り向上も期待できるでしょう。
防衛関連株(防衛株)カーリットの株価指標と配当③ 時価総額の小ささ

時価総額も300億円台と小さく、この度の急騰でようやく昨年の高値1,579円を超えました。

直近数年で見れば底値からまだ2.5倍程度です。宇宙開発は先が長い話なので、まだ思惑で動いている部分もあると思いますが、長い時間軸で成長が期待できて、そしてまさに動き出している段階と言えそうです。


防衛関連株(防衛株)カーリットの業績推移と成長性
カーリットの業績を見ていきましょう。
防衛関連株(防衛株)カーリットの業績推移と成長性① 微増の業績トレンド

業績は微妙に増収増益でして、トランプ関税が控える第1四半期も経常利益は9%増益で着地しました。
防衛関連株(防衛株)カーリットの業績推移と成長性② セグメント別の状況

ペットボトルのボトリング事業が大幅減益で苦戦したのですが、化学品や金属加工を中心に増益して、なんとかプラスをキープした形になります。

各セグメントの中で、やはり化学品の分野が最も売上・収益とも大きいのですが、この中に防衛関連のロケット燃料が入っています。
防衛関連株(防衛株)カーリットの業績推移と成長性③ 防衛関連のコスト増

ただですね、ロケット燃料に関してはコストが増加していて、収益の足を引っ張ってしまっています。

現状の業績は、産業用爆薬や自動車、高速道路用の製品が値上げなどで売上を伸ばしていまして、自動車や産業周り、機能性材料、金属製品が引っ張っている状況です。
防衛関連株(防衛株)カーリットの業績推移と成長性④ 事業ポートフォリオの転換

目先の業績を見ると少しずつ増えている程度なのですが、事業ポートフォリオをより防衛や宇宙関連にシフトしていますので、より長い目線で楽しみな会社の1つです。

防衛関連株(防衛株)カーリットの投資判断のポイント
カーリットへの投資を考える上でのポイントをまとめます。
防衛関連株(防衛株)カーリットの投資判断のポイント① 長期的な成長テーマ

防衛関連銘柄として注目ですし、宇宙開発という長期的な成長テーマを持っています。
国内で唯一の製造企業という独占的な地位は、将来的な収益拡大の大きな可能性を秘めていると考えられます。
防衛関連株(防衛株)カーリットの投資判断のポイント② 株価水準の評価

株価ラインは安く、昨年の高値を超えたとはいえ、まだ底値から2.5倍程度です。時価総額も300億円台ですから、成長余地は大きいと見ることもできるでしょう。
防衛関連株(防衛株)カーリットの投資判断のポイント③ 大化けの可能性

例えばですね、ヨウ素生産で独占している伊勢化学工業みたいに、この会社しか作れない、そしてその分野が圧倒的な成長産業の場合は、後で大化けすることもあります。

高配当というよりも、長期保有してキャピタルゲインもしっかり取っていきたい、そんな方は見ておくと面白いと思います。

防衛関連株(防衛株)カーリットの投資判断のポイント④ 投資スタンス
配当利回りは低いですが、将来的な株価上昇と増配の両方が期待できる銘柄として、成長株投資の観点から見るのが適切かもしれません。

【番外編】防衛関連株(防衛株)東京計器(7721)|急騰中だが注目の防衛株

番外編として、東京計器をご紹介します。番外編とした理由も含めて、この銘柄の特徴を見ていきましょう。

防衛関連株(防衛株)東京計器の企業概要

東京計器は明治時代に創業した日本初の計器メーカーです。

船や航空機など、広い大海原の真ん中でも正確に位置を把握したり、天候や速度などを高精度で計測していく、船舶や航空機の操縦判断には欠かせない機器を提供しています。
また、船舶・港湾向けの機器に加えて、建設機械やロボットに使われる油圧機器、流体機器、そして防衛・通信機器も手掛けています。

防衛関連株(防衛株)東京計器は、なぜ番外編なのか?
東京計器を番外編とした理由について、正直にお伝えします。
防衛関連株(防衛株)東京計器は、なぜ番外編なのか?① 急激な株価上昇

番外編としたのは、まさに見ての通り急速に上がっているからです。本日時点で前日から16%という驚異の上がり方をしていますし、PERは43.6倍まで来ています。

防衛関連株(防衛株)東京計器は、なぜ番外編なのか?② 業績は好調ではない

原材料の高騰で業績がそこまで良くない中で、思惑で上がってしまっている状況です。

正直なところ、割安銘柄として、高配当株としても取り上げにくくなっています。
防衛関連株(防衛株)東京計器は、なぜ番外編なのか?③ 需要の急拡大は見込みにくい

計測機械ですから、そんなに急速に需要が伸びるわけでもないですし、ご多分に漏れず円高やコストの上昇で、利益としては伸び悩んでいます。

一応、第1四半期に赤字を計上する形になっているので、去年に比べれば赤字幅縮小で増益と言えるかもしれませんが、トータルではまだ利益の回復は見通せていません。

防衛関連株(防衛株)東京計器をそれでも注目すべき理由
では、なぜ番外編として取り上げたのか、その理由をお話しします。
防衛関連株(防衛株)東京計器をそれでも注目すべき理由① 防衛分野への広範な関与

東京計器が防衛関連の一部ではなく、結構な分野で関わっているということです。

軍事は前線の兵器だけでなく、資源や兵糧を運ぶ船や航空機、艦艇といった輸送網も重要ですから、そこにも東京計器の製品が関わっています。
防衛関連株(防衛株)東京計器をそれでも注目すべき理由② 射撃管制レーダーの技術

さらに広範囲の計測技術を生かして、ミサイルを発射する際に目標まで正確に地点を把握する射撃管制レーダーも手掛けていまして、防衛産業の伸びを結構ダイレクトに受けやすい銘柄なんですね。
防衛関連株(防衛株)東京計器をそれでも注目すべき理由③時価総額の小ささと伸び代

10倍化しても時価総額は1,000億円台ですから、今後の動向によっては十分伸び代があります。

防衛関連株(防衛株)東京計器、投資判断のポイント
東京計器への投資を考える上でのポイントです。
防衛関連株(防衛株)東京計器、投資判断のポイント① 長期投資向けではない可能性

これは長期投資向けではないかもしれないのですが、長年の高値を抜けた状態のチャートは、その後も強く勢いが持続することがあります。

次はバブル期の1万円超が目標になってきますし、その意味では長期で仕込める、そして安い銘柄でも全然ないのですが、勢いに乗ってキャピタルゲインを狙いたい人には向いているかもしれません。

防衛関連株(防衛株)東京計器、投資判断のポイント② 片目で見ておく銘柄

片目で見ておくという意味で、7721の東京計器、番外編として取り上げさせていただきました。

割安でも高配当でもないので、今回のテーマとは少しずれるのですが、防衛関連として勢いがある銘柄として認識しておいていただければと思います。

防衛関連株(防衛株)の配当利回りランキングと比較
ここまで4つの銘柄をご紹介してきましたが、ここで改めて各銘柄を比較してみましょう。
投資判断の参考にしていただければと思います。

紹介した防衛関連株(防衛株)4銘柄の徹底比較
今回ご紹介した銘柄を表にまとめてみました。
| 銘柄名 | 証券コード | 配当利回り | PER | PBR | 時価総額 | 配当実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 新明和工業 | 7224 | 2.65% | 14.7倍 | – | 約1,400億円 | DOE3%目標、配当性向38% |
| 日本化薬 | 4272 | 4.15% | 12.7倍 | 0.9倍 | – | 45年減配なし、総還元性向155% |
| カーリット | 4275 | 1%台 | 13.3倍 | 0.9倍 | 約300億円 | 12年減配なし、総還元性向40% |
| 東京計器(番外) | 7721 | – | 43.6倍 | – | 約1,000億円 | – |
この表を見ていただくと分かる通り、それぞれの銘柄で特徴が大きく異なります。
紹介した防衛関連株(防衛株)4銘柄の徹底比較① 配当利回りでの比較
配当利回りでは日本化薬の4.15%が圧倒的に高く、新明和工業の2.65%がそれに続きます。カーリットは1%台と低いですが、成長性を考えれば今後の増配期待が持てます。

東京計器は急騰してしまったため、利回りの魅力は薄れています。
紹介した防衛関連株(防衛株)4銘柄の徹底比較② バリュエーションでの比較
PERで見ますと、日本化薬の12.7倍、カーリットの13.3倍、新明和工業の14.7倍は、いずれも割安な水準と言えるでしょう。

一方、東京計器は43.6倍と割高になっています。
紹介した防衛関連株(防衛株)4銘柄の徹底比較③ 時価総額での比較
時価総額ではカーリットが約300億円と最も小さく、成長余地という意味では大きい可能性があります。

新明和工業は約1,400億円で中堅クラス、東京計器は急騰後で約1,000億円という状況です。

投資スタイル別のおすすめ防衛関連株(防衛株)銘柄
それでは、投資スタイル別にどの銘柄が向いているか、私なりの見方をお伝えします。
投資スタイル別のおすすめ防衛関連株(防衛株)銘柄① 高配当重視なら:日本化薬
配当利回り4.15%で45年間減配なしという実績を重視するなら、日本化薬が最適でしょう。

業績には不透明感がありますが、株価の変動幅も小さく、安定的な配当収入を得たい投資家には向いていると考えられます。
投資スタイル別のおすすめ防衛関連株(防衛株)銘柄② バランス型なら:新明和工業
配当利回り2.65%と程々の配当を得ながら、株価上昇も狙いたいという方には新明和工業がバランスが取れているかもしれません。

PER14.7倍と割安で、防衛事業の成長初期段階にあるという点も魅力です。
投資スタイル別のおすすめ防衛関連株(防衛株)銘柄③ 成長期待なら:カーリット
配当利回りは低いものの、宇宙開発という長期成長テーマと国内唯一の技術を持つ点を評価するなら、カーリットが面白いでしょう。

時価総額も小さく、大化けの可能性を秘めた銘柄と言えます。
投資スタイル別のおすすめ防衛関連株(防衛株)銘柄④ 短期値上がり狙いなら:東京計器(番外編)
割安でも高配当でもありませんが、勢いに乗ってキャピタルゲインを狙いたい方には東京計器という選択肢もあります。
ただし、高値圏での投資になりますので、リスクは高いと認識しておく必要があるでしょう。

防衛関連株(防衛株)投資の注意点とリスク
ここまで防衛株の魅力についてお話ししてきましたが、投資判断をする上では、リスクや注意点についてもしっかり理解しておく必要があります。

防衛関連株(防衛株)特有の投資リスク
防衛関連株には、一般的な株式投資とは異なる特有のリスクがいくつかあります。
防衛関連株(防衛株)特有の投資リスク① 政府予算・政策変更の影響
防衛関連企業の売上は、政府の防衛予算に大きく依存しています。政権交代や財政状況の変化により、防衛費が削減される可能性もゼロではありません。
現在は防衛費増加の方向性が示されていますが、将来的にこの方針が変わるリスクは常に考慮しておく必要があるでしょう。
防衛関連株(防衛株)特有の投資リスク② 為替リスク(円高時の利益減少)
今回ご紹介した企業の多くは海外展開もしていますから、為替の影響を受けます。特に円高になると、海外での売上が円換算で目減りして、利益が圧迫されることになります。

実際に、新明和工業や日本化薬の第1四半期決算では、円高が利益減少の要因の1つとなっていました。
防衛関連株(防衛株)特有の投資リスク③ 原材料費高騰の影響
火薬や化学品を扱う企業が多いため、原材料費の高騰が直接的に収益を圧迫します。

価格転嫁ができれば良いのですが、政府向けの契約では価格改定が容易でない場合もありますので、コスト上昇リスクには注意が必要です。
防衛関連株(防衛株)特有の投資リスク④ 地政学リスクの変動
皮肉な話ですが、防衛株は地政学リスクが高まると買われる傾向があります。逆に言えば、国際情勢が安定化すると、防衛需要への期待が後退して株価が下落する可能性もあります。

投資判断においては、この特殊な需給構造を理解しておく必要があるでしょう。

防衛関連株(防衛株)投資の注意点は、決算発表時の株価変動
防衛関連株に限りませんが、決算発表時の株価変動には特に注意が必要です。
防衛関連株(防衛株)投資の注意点① 高値での決算は避ける
株価が高値圏にある時の決算発表は、内容が良くても「材料出尽くし」で売られることがあります。
新明和工業の10月31日決算など、株価が上昇してきた後の決算発表時には、一旦様子を見るという判断も必要かもしれません。
防衛関連株(防衛株)投資の注意点② 窓開け急落のリスク
日本化薬のように、決算内容が市場予想を下回ると、翌日に窓を開けて急落することがあります。
5月と7月の決算後に窓開け下落を経験していますから、決算前のポジション調整も検討する価値があるでしょう。
防衛関連株(防衛株)投資の注意点③ 進捗率と通期予想のチェックポイント
第1四半期や上期の数字だけでなく、通期予想に対する進捗率をチェックすることが重要です。
例年50〜60%進捗しているのに今年は42%という場合、通期予想の達成が厳しい可能性がありますから、そういった数字にも注意を払う必要があります。

防衛関連株(防衛株)投資における、分散投資の重要性
防衛株への投資を考える上で、分散投資の考え方も大切です。
防衛関連株(防衛株)投資における、分散投資の重要性① 大手3社と中小型株の組み合わせ
三菱重工のような大手と、今回ご紹介したような中小型株を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを取ることができます。
大手は安定性が高く、中小型株は成長余地が大きいという特徴がありますから、両方を持つことでポートフォリオの安定性が高まる可能性があります。
防衛関連株(防衛株)投資における、分散投資の重要性② 他業種との分散
防衛株だけに集中投資するのではなく、他の業種の株式とも組み合わせることが重要です。
防衛関連は政府予算という共通のリスク要因がありますから、全く異なる業種と組み合わせることでリスク分散効果が得られるでしょう。
防衛関連株(防衛株)投資における、分散投資の重要性③ 配当再投資戦略
高配当の銘柄から得られる配当を再投資していくことで、複利効果を得られます。
特に日本化薬のように配当利回りが4%を超える銘柄では、配当を再投資することで長期的なリターン向上が期待できます。

2025年以降の防衛関連株(防衛株)投資戦略
それでは、これから防衛株への投資を考えている方に向けて、具体的な投資戦略についてお話ししていきます。

防衛関連株(防衛株)の投資戦略の練り方の一例をご紹介。
この記事をご覧になって、防衛株に興味を持たれた方は、ぜひ以下に、防衛関連株の投資戦略の練り方の一例をご紹介します。
防衛関連株(防衛株)の投資戦略の練り方① まずは企業研究
いきなり投資するのではなく、まずは各社のホームページやIR資料を読んで、事業内容や業績をしっかり理解することから始めましょう。
決算短信や有価証券報告書を読む習慣をつけると、企業を見る目が養われていきます。
防衛関連株(防衛株)の投資戦略の練り方② 少額から実践
勉強だけで終わらせずに、少額でも良いので実際に投資してみることをおすすめします。
お金を投じることで、企業への関心も高まりますし、投資の実践経験を積むことができます。
防衛関連株(防衛株)の投資戦略の練り方③ 継続的な情報収集
防衛関連のニュースや決算情報は、継続的にチェックしていきましょう。

長期投資視点での防衛関連株(防衛株)の位置づけ
防衛株を長期投資の対象として考える際の視点をお伝えします。
防衛関連株(防衛株)投資戦略① 2035年まで継続する国策テーマ
防衛力強化は2035年まで続く国策テーマですから、10年以上の長期投資の対象として考えることができます。
単年度で終わる一時的なテーマではなく、構造的な成長が期待できる分野と捉えることができるでしょう。
防衛関連株(防衛株)投資戦略② インカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(値上がり)の両取り
防衛株の魅力は、配当収入を得ながら株価上昇も狙えるという点にあります。
日本化薬のように配当利回りが高い銘柄では安定的なインカムゲインが得られますし、カーリットのような成長株では将来的な株価上昇によるキャピタルゲインも期待できます。
防衛関連株(防衛株)投資戦略③ 暴落時の仕込みタイミング
私が最も得意としているのが、暴落期のみ株を買って平均の6倍速で資産を増やしていく投資手法です。
防衛株も例外ではなく、市場全体が暴落した時に優良な防衛株を仕込むことができれば、その後の回復局面で大きなリターンを得られる可能性があります。

今から始める防衛関連株(防衛株)投資の始め方の一例をご紹介
これから防衛株投資を始めたい方に向けて、防衛関連株(防衛株)投資の始め方の一例をご紹介します。
ステップ1:証券口座の開設
まだ証券口座をお持ちでない方は、まず証券口座の開設から始めましょう。
ネット証券であれば手数料も安く、情報ツールも充実していますので、初心者の方にもおすすめです。
ステップ2:少額から始める(単元未満株活用)
いきなり大きな金額を投資するのではなく、まずは少額から始めることをおすすめします。
最近は単元未満株取引ができる証券会社も増えていますから、1株から購入することも可能です。少額で始めて、徐々に投資額を増やしていくという戦略が堅実でしょう。
ステップ3:決算チェックの習慣化
投資した企業の決算発表は必ずチェックする習慣をつけましょう。
新明和工業は10月31日、日本化薬は11月11日に決算がありますから、こういった日程を把握しておくことが大切です。
決算短信を読む習慣がつけば、企業の業績変化をいち早く察知できるようになります。
ステップ4:建設機械統計・物流企業動向の確認
新明和工業のように特装車がメインの企業では、建設機械の統計や物流企業の稼働状況が業績に影響します。
こういった関連データもチェックする習慣をつけると、より精度の高い投資判断ができるようになるでしょう。

防衛株の配当政策と株主還元の特徴をおさらい
防衛関連株を投資対象として見た時に、配当政策や株主還元の特徴を理解しておくことは非常に重要です。
ここでは、防衛企業が比較的高い配当を出せる理由や、累進配当といった株主還元の考え方について解説していきます。

防衛関連企業が高配当を出せる理由
防衛関連企業が比較的高い配当を出せる背景には、いくつかの構造的な要因があります。
防衛関連企業が高配当を出せる理由①長期安定的な政府契約
防衛関連の取引は、主に政府との長期契約になることが多く、民間企業向けのビジネスと比べて売上の予見性が高いという特徴があります。
数年にわたる開発期間や製造期間が設定されることも多く、急激な需要変動が起きにくい構造になっているんですね。
防衛関連企業が高配当を出せる理由②収益の予測可能性が高い
政府予算に基づいた発注になりますから、ある程度先の受注見通しが立てやすく、企業としても中期的な利益計画を組みやすい環境にあります。
こうした収益の安定性が、株主還元を計画的に行える基盤になっているわけです。
防衛関連企業が高配当を出せる理由③技術力による参入障壁
防衛関連の製品は高度な技術を要求されることが多く、また安全保障上の理由から新規参入も容易ではありません。
既存のサプライヤーが継続的に受注を獲得しやすい構造になっていまして、これも安定的な収益確保につながっていると考えられます。

累進配当とは?減配しない防衛株の魅力
防衛株を語る上で、「累進配当」という言葉を理解しておくことは重要です。
累進配当とは?減配しない防衛株の魅力①累進配当の定義と投資家メリット
累進配当とは、企業が配当金を毎年維持または増加させていく方針のことを指します。つまり、前年よりも配当を減らさない、できれば増やしていくという株主還元の考え方ですね。
投資家にとっては、配当収入が減らない、むしろ増えていく可能性があるという安心感があります。
累進配当とは?減配しない防衛株の魅力②日本化薬の45年累進配当記録
今回ご紹介する銘柄の中で、日本化薬という会社は45年以上も減配していないという、おそらく日本で最も長い記録を持っています。
45年間というのは、バブル崩壊もリーマンショックもコロナショックも経験しながら、一度も配当を減らしていないということですから、これは相当な企業体力と株主還元への強いコミットメントを示していると言えるでしょう。
累進配当とは?減配しない防衛株の魅力③DOE(株主資本配当率)とは
防衛株の配当政策を見る時に、DOEという指標も出てきます。DOEは「株主資本配当率」のことで、株主資本に対して何%を配当として還元するかを示す指標です。
例えば「DOE3%を目標」と掲げている企業は、株主資本の3%相当を毎年配当として還元していく方針ということになります。
これは業績が多少変動しても配当水準を維持しやすい指標として、最近注目されているんですね。

防衛株の配当利回りと配当性向の目安
では、実際に防衛株の配当水準はどの程度なのか、見ていきましょう。
防衛株の配当利回りと配当性向の目安①平均的な配当利回り水準
今回ご紹介する銘柄を見ますと、配当利回りは1%台から4%台まで幅があります。大手3社も含めた防衛関連株全体で見ると、おおむね2〜3%台が平均的な水準と言えそうです。
ただ、個別に見ていくと日本化薬のように4%を超える高配当の銘柄もありますから、銘柄選択によっては高い配当収入を得られる可能性もあります。
防衛株の配当利回りと配当性向の目安②配当性向30〜40%が適正な理由
配当性向、つまり利益のうち何%を配当に回すかという指標では、30〜40%程度が多くの防衛関連企業で見られる水準です。
これは、成長投資のための資金も確保しながら、株主還元もバランスよく行うという考え方を反映しています。
配当性向が低すぎると株主還元が不十分という見方もできますし、逆に高すぎると成長投資や財務の安全性に懸念が出てきますから、30〜40%程度が健全な水準と考えられているんですね。
防衛株の配当利回りと配当性向の目安③総還元性向100%超の企業事例
一方で、配当だけでなく自社株買いも含めた「総還元性向」で見ると、100%を超える企業もあります。
例えば日本化薬は、2024年度の総還元性向見通しがなんと155%です。これは利益以上に株主還元を行うということですから、企業の株主還元への強い姿勢を示していると言えるでしょう。
ただ、これは逆に言えば成長投資に回す余地が少ないという見方もできますので、企業の成長段階や事業戦略と合わせて評価する必要があります。

防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ
それでは最後に、今回お話しした内容をまとめていきます。

防衛株投資のポイント総括
今回は防衛株の今後の展望と、高配当銘柄4選についてお話ししてきました。重要なポイントを改めて整理しておきましょう。
防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ① 2035年まで長期メガトレンド継続

防衛関連は単なる一過性のテーマではなく、2035年まで続く国策に基づいた長期メガトレンドです。
防衛費のGDP比2%への引き上げ、製造力倍増計画など、政府の強いコミットメントがありますから、中長期的な成長が期待できる分野と言えるでしょう。
防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ② 大手以外の割安高配当銘柄に注目

三菱重工、川崎重工、IHIといった大手3社はPER60倍、PBR4倍と割高になっていますが、今回ご紹介したような中小型株はまだ割安に放置されている銘柄も多くあります。
新明和工業、日本化薬、カーリットは、いずれもPER15倍以下で、防衛事業の成長余地も大きいと考えられます。
防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ③ 累進配当・減配なし実績は強い

日本化薬の45年間減配なしという実績は、企業の財務体力と株主還元へのコミットメントを示しています。
長期投資において、配当が安定しているということは非常に重要な要素です。配当収入を目的とした投資であれば、こういった実績のある企業を選ぶことが賢明でしょう。
防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ④ 業績の変化初期段階が投資チャンス

新明和工業やカーリットのように、防衛事業の売上比率がまだ小さい段階の企業は、これから収益構造が変わっていく可能性があります。
大きく伸びる前の初期段階で投資できれば、その後の成長の恩恵を最大限に受けられるわけですね。
防衛関連株(防衛株)の今後・配当・利回りのポイントまとめ⑤ リスク管理しながら長期保有
防衛株には政府予算への依存、為替リスク、原材料費高騰など、特有のリスクもあります。
これらのリスクを理解した上で、分散投資を心がけながら長期保有することが、成功への道だと考えています。
本日の記事は以上となります。
防衛関連株の中でも、防衛需要で長期で業績が伸びそうで、かつ割安で配当利回りも高い3銘柄と番外編1銘柄をご紹介しました。
防衛の関連銘柄を知ったり、投資判断のための情報収集をしたいという方の参考になれば幸いです。
株式会社RES代表取締役/Youtube Trade Labo配信者 児玉一希 のメディア出演情報
児玉一希のメディア出演情報 日経CNBC「昼エクスプレス」
2025年7月24日(木)放送の日経CNBC「昼エクスプレス」に、。
下記リンクより視聴が可能です。
https://online.nikkei-cnbc.co.jp/vod/59915
児玉一希のメディア出演情報 ビジネス映像メディア PIVOT「マーケット超分析」
児玉一希のメディア出演情報 松井証券YouTube公式チャンネル
児玉一希のメディア出演情報 「Live News イット!」県内ニュース(テレビ静岡)
2024年9月14日(土)に放送された「Live News イット!」の県内ニュース(テレビ静岡)にて、株式会社RES代表 児玉一希が講師として登壇した講座「投資YouTuberから学ぶ 女性向け投資のキホン講座」(企画協力:テレビ静岡)についてご紹介いただきました。当記事管理者・著者情報 株式会社RES代表取締役/Youtube Trade Labo配信者 児玉一希 プロフィール
東京都立大学(旧・首都大学東京)卒業後、2014年に新卒でリクルートグループへ入社。営業職としてキャリアをスタートするも、当初は思うような成果を上げることができず、2年後に転職を決意。
2016年、金融教育を手がける企業に転職し、投資家の講演運営に携わる中で、株式投資をはじめとする各種投資について学ぶ機会を得る。
その過程で、投資と教育の分野に対する関心が高まり、自らも教育事業に携わるようになる。これまでに直接指導を行った受講者は累計2万人を超える。
2020年には、株式会社RESの代表に就任し、お金や投資を学ぶための学校(現:「マネバ」)を創設。
さらに、2022年にはYouTubeチャンネル「Trade Labo」を開設し、株式市場や個別株の分析に関する情報発信を開始。投資に関心を持つきっかけとなる場を提供している。
